091:小林さんは奇跡そのもの_6

彼女は小林桂代に頼むことなどしないだろう。

今では小林桂代と小林強輝が二人で彼女たちの前に跪いたとしても、彼女は二人を一瞥もしないだろう。

それを聞いて、城井定邦もそれ以上何も言わなかった。「まあいい、あなたがわかっていればいいんだ。」

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一方、手術室の外では。

安田振蔵が落ち着かない様子で行ったり来たりしており、顔には不安の色が浮かんでいた。

しかし、手術室からは何の音も聞こえてこなかった。

対照的に、馬場康誠の表情はずっと余裕があった。彼は同意書をしっかりと握りしめ、次の瞬間に誰かに盗まれてしまうのではないかと心配していた。

今やこの同意書は単なる免責同意書ではなく、命を守る契約書となっていた。

その時。

手術室内。

ピピピ--

モニターから警告音が鳴り響いた。

医療助手が青ざめた顔で言った。「小林さん、患者のバイタルサインが全て低下しています。心拍数も100まで下がっています。すぐに除細動器を準備する必要があります!」