091:小林さんは奇跡そのもの_7

その言葉を聞いて、馬場康誠はすぐに青木秘書部長の側に歩み寄り、先手を打って言った。「青木部長、今回の手術は完全に安田院長一人の判断で、私たち他の者には一切関係ありません。ご覧ください、これは安田院長が直接署名した同意書です。」

そう言って、馬場は同意書を青木秘書部長に手渡した。

青木秘書部長は同意書を受け取り、眉をひそめながら安田振蔵を見た。「安田院長、説明をお願いします。」

安田振蔵は続けて言った。「老人の状態は非常に危険で、すぐに手術を行う必要がありました。青木部長、もし手術中に何か問題が起きた場合は、私一人で全責任を負います!」

「では、中で老人の手術を行っているのは誰ですか?」青木秘書部長は続けて尋ねた。

この言葉が出た瞬間。

空気が少し静かになった。

安田振蔵が話そうとした時、馬場康誠が割り込んで言った。「若い女性です。」

しかも医師免許すら持っていない若い女性だ。

馬場はさらに続けた。「青木部長、手術前に私たちは皆、安田院長に独断専行しないよう進言しました。あの若い女性はあまりにも若すぎますし、実戦経験もありません。それに、基本的な病因さえ誤診していたのです!」

ここまで言って、馬場は一旦言葉を切った。「しかし安田院長は病院のトップですから、私たちの反対は何の効果もありませんでした。私でさえ、ただ安田院長が手術を承認するのを見ているしかなかったのです!」

待っていればいい。

安田振蔵はもうすぐ終わりだ。

西京への異動を待つ必要もなくなる。

一旦安田振蔵が拘束されれば、青葉総合病院で院長になる資格が最もあるのは誰か?

もちろん自分だ!

自分以外に、この地位に相応しい人物は他にいない。

これらの言葉を聞いて、青木秘書部長は眉をひそめ、安田振蔵に視線を向けた。「安田院長、これは一体どういうことですか!」

安田振蔵は毅然とした態度で答えた。「青木部長、私は小林さんが必ず手術を無事に完了できると信じています。」

たったそれだけの言葉。

青木秘書部長は後ろの部下に目配せした。

部下はすぐに意を汲み取り、安田振蔵の前に進み出た。「これからは、安田院長がどこへ行くにも我々が同行させていただきます。」

馬場康誠は目を細めた。

これは事実上の軟禁だ。

今からは、安田振蔵だけでなく、その家族までも監視下に置かれることになる。