093:この上ない栄誉!_5

しかも、彼女は秋山春樹が小林綾乃を見る目つきが、彼が言うほど無関心ではないと感じていた。

だから。

彼女は秋山春樹が演技をしていると思った。彼は小林綾乃に関心がないふりをしているのだと。

それを聞いて、秋山春樹は眉をひそめた。「演技って何?好きじゃないものは好きじゃないんだよ。美人が好きとは限らないだろう。」

彼はその例外だった。

母が言っていた。

妻は必ずしも美人である必要はないが、自分のキャリアと家庭に役立つ人でなければならないと。

小林綾乃は。

見た目だけの人だ。

将来の妻は美人でなくてもいいが、能力は必須だ。

できれば内面も外見も優れている人がいい。

明らかに、小林綾乃は資格不足だ。

そう言いながら、秋山春樹は心の中で三つ数えた。

なぜなら、すぐに小林綾乃が近づいてきて挨拶するはずだから。

そうすれば一橋啓子にもわかるだろう。

彼は小林綾乃に近づく必要などない、彼女の方から寄ってくるのだと。

あの言葉の通り。

花が咲けば、蝶は自ずと寄ってくる。

それを聞いて、一橋啓子は秋山春樹が偽善的だと感じた。

美人が好きなことは恥ずかしいことじゃない!

なぜそんなふりをする必要があるの?

小林綾乃が近づいてくるのを見て、秋山春樹はますます興奮し、軽く咳払いをして姿勢を正した。

秋山春樹が小林綾乃が来るのを待っていたその時、次の瞬間、小林綾乃は曲がり角を曲がってトイレの方へ向かった。

秋山春樹は呆然とした。

小林綾乃が挨拶に来なかったことが信じられなかった。

小林綾乃はわざとなのか?

わざと自分に姿を見せておいて、挨拶もしない。

もし彼の推測が正しければ...

小林綾乃のこの手は駆け引きというものだろう?

秋山春樹は深いため息をついた!

よし。

小林綾乃が駆け引きをしたいというなら?

彼女がいつまで引き続けるか、見てやろうじゃないか!

しばらくして。

小林綾乃は渡辺麗希とトイレから出てきた。

秋山春樹が小林綾乃に挨拶しないなら、一橋啓子が自分からしよう。小林綾乃が自分のことを覚えているかどうかわからないが、一橋啓子は小林綾乃に手を振った。「ハイ、小林美人!」

それを聞いて、小林綾乃は少し顔を上げた。