093：この上ない栄誉！_2

「はい。」小林桂美は頷いた。

後藤淑子は続けて言った。「そうそう、この数年間青葉市での暮らしは良かった？今は子供何人いるの？」

「まあまあね、子供は一人よ。」

それを聞いて、後藤淑子は少し驚いた様子で、「こんなに年月が経ったのに、二人目ができたと思ってたわ！」

「いいえ、」小林桂美は首を振って、「今は娘の教育に専念したいから、二人目を産む余裕はないわ。」

後藤淑子は笑いながら言った。「じゃあ、娘さんはきっとすごく優秀なんでしょうね？」

城井沙織の話になると、小林桂美は嬉しそうに、「うちの娘は確かに良い子よ。今、青葉高校に通ってるんだけど、テストではほとんど毎回学年で50番以内に入るのよ。」

後藤淑子は驚いた様子だった。彼女は青葉高校が青葉市で最も優秀な高校だということを知っていた。「娘さんは沙織ちゃんって言うんでしたよね？」

「そうよ。」小林桂美は頷いた。

後藤淑子は何かを思い出したように、「私の社長の娘さんも青葉高校に通ってるって聞いたわ。」

「本当？」その言葉を聞いて、小林桂美はすぐに後藤淑子の方を見た。「社長の娘さんの名前は何て言うの？」

二人とも青葉高校に通っているなら、城井沙織は美人亭の社長の娘を知っているかもしれない！

知らなくても、名前を聞いておけば、沙織に近づくように言えるわ。

もし城井沙織が美人亭の社長の娘と友達になれたら、それはなんて名誉なことだろう？

小林桂美は考えれば考えるほど興奮してきた。

城井沙織は元々頭が良く、友達からの評価も星五つ、小林桂美は娘に自信があった。

後藤淑子は首を振った。彼女は小林綾乃を一度遠くから見かけただけで、ただ気取らない女の子という印象を持っただけだった。「私が社長の娘さんの名前を知るわけないでしょう？今どきのお金持ちは皆控えめだから、青葉高校でも彼女が美人亭と関係があることは誰も知らないんじゃないかしら？」

社長の娘が控えめなだけじゃない。

二人の社長も控えめだった。

そうでなければ、シトロエンなんて乗ってないはずだ。

それを聞いて、小林桂美の目には失望の色が浮かんだ。

後藤淑子を通じて城井沙織に美人亭のお嬢様を紹介してもらえると思ったのに、後藤淑子はそのお嬢様の名前すら知らないなんて。