094:命の恩人との再会_4

山下おばあさんは振り返って小林綾乃を見た。

少女の顔は黄金色の夕日に隠れ、頬のえくぼが人を引き込むようだった。

美しく自然な姿だった。

その笑顔は直接山下おばあさんに伝染し、彼女は笑いながら言った。「綾乃、しっかり座っていてね。出発するわよ。」

「はい。」小林綾乃は頷いた。

山下おばあさんは前の道を見て、笑いながら声をかけた。「みんな、道を開けてちょうだい。」

前に立ちふさがっていた学生たちは、すぐに山下おばあさんの三輪車のために道を空けた。

山下おばあさんはハンドルを回し、電動三輪車が素早く動き始めた。

風が小林綾乃の長い髪を揺らした。

とても乱れていた。

しかしその乱れの中に、独特の美しさが漂っていた。

通行人は皆振り返って見つめた。

廃品回収のおばあさんが三輪車で、その花のように美しい孫娘を乗せ、賑やかな通りを走り抜ける姿は、強烈なコントラストを生み出していた。

「かっこいい!」授業を終えたばかりの大学生が教科書を抱えながら、目の前を通り過ぎる祖孫を見つめ、目には羨望の色が浮かんでいた。

よく見ると、その目には羨望の他に後悔の色も浮かんでいた。

かつて彼女にも、自分を深く愛してくれたおばあちゃんがいた。

しかし彼女のおばあちゃんは清掃員だった。

クラスメートにおばあちゃんが道路清掃員だと知られるのが怖くて、彼女は毎回下校時におばあちゃんを避けていた。

おそらくおばあちゃんも、彼女の意図的な回避と目に浮かぶ困惑を察していたのだろう。

あの時から。

おばあちゃんは人前で彼女の名前を呼ぶことはなくなり、彼女を見かけても知らないふりをするようになった。

でも彼女が家に帰るたびに、おばあちゃんは一番良いものを彼女のために取っておいてくれた。

そしてその後...

おばあちゃんは亡くなった。

彼女が物事を理解できるようになる前に、おばあちゃんは逝ってしまった。

もう何年も経っているのに、これらのことを思い出すたびに、彼女は目に涙が溢れた。

あの時。

彼女もこの女の子のように勇気があれば良かったのに。

もしかしたら。

人生にこんなに多くの後悔は残らなかったかもしれない。

残念ながら。

人生に「もし」はなく、ただ「結果」があるだけだ。