「うん」志村文礼は頷いた。
一橋景吾は袋を開け、中から数着の服を取り出した。
黒いシャツ。
同じ色のワークパンツ。
見た目は悪くない。さすが有名デザイナーの手によるものだ。一橋景吾は少し興奮した様子で「三兄貴、服を試着してきます」と言った。
山下言野は軽く頷き、「どうぞ」と言った。
一橋景吾は奥に行って着替えた。
すぐに着替えを済ませて出てきた。
黒いシャツとワークパンツの組み合わせは、なかなかの出来栄えだった。
クールな感じが漂っていた。
一橋景吾はかなり派手なポーズを取り、「志村さん、どう?かっこいい?」
志村文礼は相手にしなかった。
一橋景吾は山下言野の側に寄った。
山下言野:「消えろ」
一橋景吾:「...」
うぅ...なぜいつも傷つくのは自分なのか?
しばらくして、一橋景吾は山下言野を見上げ、身につけている服を引っ張りながら「三兄貴、これから毎日この制服で仕事するんですか?」
「ああ」山下言野の声は淡々としていた。
一橋景吾は眉をひそめた。「え?なんでですか?」
この服はなかなかいいけど、長く着ていると飽きてしまうだろう!
そうなったら女の子にアピールできなくなる!
「仕事には仕事らしい姿があるべきだからだ」山下言野は一橋景吾の目を見て言った。
一橋景吾は完全に理解不能という表情を浮かべた!
仕事には仕事らしい姿が必要...
三兄貴は大義名分を掲げている。
でも、なぜ今までユニフォームを用意しなかったんだろう?
なぜ今になって?
そのとき、一橋景吾は何かを思いついたような...
山下言野のすべての変化は、小林綾乃が修理店に来てからのようだ。
もしかして...
今回の突然のユニフォーム制定も、小林綾乃のため?
そう考えると。
一橋景吾の目に興奮の色が浮かんだ。
その様子を見て、志村文礼は眉をひそめ「何を考えているんだ?」
一橋景吾は志村文礼の肩を掴み、小声で何かを囁いた。
それを聞いて、志村文礼の眉間の皺はさらに深くなった。
彼は一橋景吾が完全に狂ったと思った。
山下言野はただユニフォームを作っただけなのに、一橋景吾はそれを小林綾乃に結びつけている。
小林綾乃を何だと思っているんだ?
天上の仙女?
小林綾乃にそんなに魅力があるのか?
まったく馬鹿げている。