097:賭け、優越感_2

「うん」志村文礼は頷いた。

一橋景吾は袋を開け、中から数着の服を取り出した。

黒いシャツ。

同じ色のワークパンツ。

見た目は悪くない。さすが有名デザイナーの手によるものだ。一橋景吾は少し興奮した様子で「三兄貴、服を試着してきます」と言った。

山下言野は軽く頷き、「どうぞ」と言った。

一橋景吾は奥に行って着替えた。

すぐに着替えを済ませて出てきた。

黒いシャツとワークパンツの組み合わせは、なかなかの出来栄えだった。

クールな感じが漂っていた。

一橋景吾はかなり派手なポーズを取り、「志村さん、どう?かっこいい?」

志村文礼は相手にしなかった。

一橋景吾は山下言野の側に寄った。

山下言野:「消えろ」

一橋景吾:「...」

うぅ...なぜいつも傷つくのは自分なのか?

しばらくして、一橋景吾は山下言野を見上げ、身につけている服を引っ張りながら「三兄貴、これから毎日この制服で仕事するんですか?」

「ああ」山下言野の声は淡々としていた。

一橋景吾は眉をひそめた。「え?なんでですか?」

この服はなかなかいいけど、長く着ていると飽きてしまうだろう!

そうなったら女の子にアピールできなくなる!

「仕事には仕事らしい姿があるべきだからだ」山下言野は一橋景吾の目を見て言った。

一橋景吾は完全に理解不能という表情を浮かべた!

仕事には仕事らしい姿が必要...

三兄貴は大義名分を掲げている。

でも、なぜ今までユニフォームを用意しなかったんだろう?

なぜ今になって?

そのとき、一橋景吾は何かを思いついたような...

山下言野のすべての変化は、小林綾乃が修理店に来てからのようだ。

もしかして...

今回の突然のユニフォーム制定も、小林綾乃のため?

そう考えると。

一橋景吾の目に興奮の色が浮かんだ。

その様子を見て、志村文礼は眉をひそめ「何を考えているんだ?」

一橋景吾は志村文礼の肩を掴み、小声で何かを囁いた。

それを聞いて、志村文礼の眉間の皺はさらに深くなった。

彼は一橋景吾が完全に狂ったと思った。

山下言野はただユニフォームを作っただけなのに、一橋景吾はそれを小林綾乃に結びつけている。

小林綾乃を何だと思っているんだ?

天上の仙女?

小林綾乃にそんなに魅力があるのか?

まったく馬鹿げている。