097:賭け、優越感_3

そうでなければ。

小林綾乃はなぜずっと表情を変えないのだろう?

これ以外に。

白川露依は他の理由が思いつかなかった。

「まさか!」山下おばあさんは白川露依の言葉を即座に否定した。「私はあんなにうまく演技していたのに、公園で一緒に麻雀をしていたおばあさんたちまでもう私と遊んでくれなくなったのよ!」

小林綾乃と彼女の家族以外は。

小林綾乃は正に運命の孫嫁だった。

ここまで話して、山下おばあさんは白川露依を見つめながら続けた。「言っておくけど、綾乃を嫁に迎えられるなんて、うちの先祖の御利益よ!」

先祖の御利益?

白川露依は呆れた。

おばあさんの言い方だと、まるで山下言野が誰も欲しがらないものであるかのようだった。

白川露依は手近にあったおばあさんのコーラを自分のコップに注ぎながら、「お母さん、それって逆じゃないですか?」

山下言野に嫁げるなんて、小林家の先祖の御利益じゃないの?

小林綾乃はただの普通の女の子に過ぎないのに。

でも山下言野は違う。

山下おばあさんは残りわずかなコーラを胸に抱えながら言った。「逆じゃないわよ、私はまだボケてないわ!」

白川露依は軽く笑い声を漏らした。

ボケてない?

ボケてなければこんなことを言うはずがない?

このおばあさんって結構可愛いところがある。

「何を笑っているの?」山下おばあさんは白川露依を見た。

白川露依は笑みを収めて、「笑ってませんよ。」

山下おばあさんは眉をひそめた。「私を目が見えないと思っているの?」

白川露依は山下おばあさんの手の甲を軽く叩きながら、真剣な口調で言った。「お母さん、私は分かっています。三男のことを大切に思って、早く家庭を持って、寒暖を分かち合える人と余生を過ごしてほしいと願っているのは。でも時には、物事はあなたが想像するほど素晴らしくないかもしれません。」

例えば小林綾乃。

例えば山下おばあさんが今見ているそれらのこと。

それらは単に誰かが意図的に山下おばあさんの前に見せたいものかもしれない。

しかし。

これは完全に山下おばあさんを責められない。

結局のところ、彼女は年配の方だから。

責めるとすれば、小林綾乃が誰を騙すでもなく、わざわざ年配者を騙すことを選んだことだ。

こういう人は本当に良心がない。