097:賭け、優越感_5

白川露依は再び山下おばあさんに言い返せなくなった。

山下おばあさんは最後のコーラを飲み干し、階段を上がって行った。

白川露依はおばあさんの後ろ姿を見て、少し困ったように首を振った。

やはり年を取ると、わがままな子供のようになるものだ。

山下おばあさんは部屋に戻り、ドアを閉めてから、棚の前に歩み寄り、棚の上に置いてある箱を取ろうとした。

しかし棚があまりにも高すぎて、つま先立ちをしても届かず、仕方なく小さな椅子を持ってきて、やっと箱を取ることができた。

紫檀の箱。

かなり古そうで、表面の塗装が剥げかけていた。

おばあさんは誰にも自分の部屋の掃除をさせなかったので、箱は塗装が剥げているだけでなく、厚い埃も積もっていた。

山下おばあさんはタオルを取り、丁寧に箱を拭き、しばらくしてから蓋を開けた。