白川露依は再び山下おばあさんに言い返せなくなった。
山下おばあさんは最後のコーラを飲み干し、階段を上がって行った。
白川露依はおばあさんの後ろ姿を見て、少し困ったように首を振った。
やはり年を取ると、わがままな子供のようになるものだ。
山下おばあさんは部屋に戻り、ドアを閉めてから、棚の前に歩み寄り、棚の上に置いてある箱を取ろうとした。
しかし棚があまりにも高すぎて、つま先立ちをしても届かず、仕方なく小さな椅子を持ってきて、やっと箱を取ることができた。
紫檀の箱。
かなり古そうで、表面の塗装が剥げかけていた。
おばあさんは誰にも自分の部屋の掃除をさせなかったので、箱は塗装が剥げているだけでなく、厚い埃も積もっていた。
山下おばあさんはタオルを取り、丁寧に箱を拭き、しばらくしてから蓋を開けた。