北谷おじいさんは小林綾乃を見つめ、「それでは小林さんに薬の処方をお願いしたいのですが」と言った。
青葉総合病院には期待できないことは明らかだった。
結局のところ、彼らは病因さえ突き止められなかったのだから。
小林綾乃は軽く頷き、青木秘書部長の方を向いて、「筆と紙はありますか?」と尋ねた。
「はい」青木秘書部長は携帯している筆記用具を取り出した。
小林綾乃は紙を受け取り、目を伏せて処方箋を書き始めた。
彼女の筆さばきは素早かった。
およそ1分ほどで処方箋を書き上げ、青木秘書部長に手渡しながら、「これに従って、一日二回、一週間続けて飲んでください」と言った。
青木秘書部長は処方箋を受け取り、「ご苦労様です、小林さん」と言った。
小林綾乃は淡々とした表情で、「どういたしまして」と答えた。