100:神様に感謝

このような話を聞いて、志村文礼は完全に呆然としてしまった。

これは彼が想像していたものとは全く違っていた。

安田振蔵がきっと怖がって、すぐに彼の要求に同意すると思っていた。

なぜなら。

この件は安田振蔵にとって、ほんの些細なことに過ぎなかったのだから。

しかし予想外にも。

安田振蔵は彼を拒絶しただけでなく、一切の情けも見せずに断ったのだ。

これは志村文礼の怒りを煽った。

彼は顔を上げて安田振蔵を見つめ、「安田院長、本当によくお考えになりましたか?後悔なさらないですか?」

「後悔はしません」安田振蔵は相変わらず笑顔を保っていた。

以前の安田振蔵はこの若い医師をとても評価していた。

なにしろ志村文礼は藤原天佑老師の弟子なのだから。

しかし今は…

彼は志村文礼があまりにも自負心が強く、軽率すぎると感じていた。