101:秘密_2

庶民というのは本当に天地の高さも知らないものだ。

本当に三十分以内に出てしまったのだ。

試験会場の外。

太陽が燃えるように照りつけている。

小林綾乃は片手に携帯を持ち、もう片方の手で額を覆いながら、入口の方向へ急いで走っていった。

試験会場の入口には多くの待っている家族が立っていた。

小林綾乃が出てくるのを見て。

それぞれ異なる表情を浮かべた。

山下おばあさんはショート動画を見ていたが、顔を上げると小林綾乃がこちらに向かってくるのが見えた。すぐに携帯を閉じ、小林綾乃に手を振って、「綾乃ちゃん、こっちよ!」

小林綾乃は山下おばあさんの方向へ走っていった。

山下おばあさんは買ったばかりの水を小林綾乃に渡した。

冷やした水を一口飲むと、頭から足まで涼しさが広がった。

とても気持ちよかった。