105:自己愛に溺れる男を懲らしめる

大川錦岳たちは見物人のようにこの場面を見ていた。

誰も予想していなかった。

秋山春樹がこんなに勇敢だとは!

本当に小林綾乃の前まで追いかけてきて、こんな厚かましいことを言うなんて。

一言言い終えると、秋山春樹はそのまま小林綾乃を見つめた。

顔中に自信に満ちた表情を浮かべている。

心臓の鼓動が速くなる。

小林綾乃が自分を拒絶するはずがないと分かっていても、秋山春樹はとても興奮していた。

彼は小林綾乃が自分の手を取るのをとても期待していた。

今日が過ぎれば。

学校中の男子が知ることになる、小林綾乃の憧れの人は彼だということを!

密かに思いを寄せていた人も彼だということを!

そうなれば。

大川錦岳がどうやって威張るというんだ!

金持ちだからって偉いと思ってるのか?

あいつがどれだけ金持ちでも、小林綾乃は彼のことを好きじゃない。