大川錦岳たちは見物人のようにこの場面を見ていた。
誰も予想していなかった。
秋山春樹がこんなに勇敢だとは!
本当に小林綾乃の前まで追いかけてきて、こんな厚かましいことを言うなんて。
一言言い終えると、秋山春樹はそのまま小林綾乃を見つめた。
顔中に自信に満ちた表情を浮かべている。
心臓の鼓動が速くなる。
小林綾乃が自分を拒絶するはずがないと分かっていても、秋山春樹はとても興奮していた。
彼は小林綾乃が自分の手を取るのをとても期待していた。
今日が過ぎれば。
学校中の男子が知ることになる、小林綾乃の憧れの人は彼だということを!
密かに思いを寄せていた人も彼だということを!
そうなれば。
大川錦岳がどうやって威張るというんだ!
金持ちだからって偉いと思ってるのか?
あいつがどれだけ金持ちでも、小林綾乃は彼のことを好きじゃない。