四角い顔の橋本警官は杉本瑠璃の前に立ち、彼女を注意深く観察した。彼女がまだ学生のような様子を見て、眉をしかめた。
彼も捜査のベテランで、善人と悪人をある程度見分けることができた。この少女が悪人だとは思えなかった。
「君が杉本瑠璃か?」
周りの人々の表情が既に答えを示していたが、間違いを避けるため、確認する必要があった。
「そうです、橋本警官、彼女です。彼女が杉本瑠璃です!」
杉本瑠璃が答える前に、橋本警官の後ろにいた石川賢明が目を押さえながら飛び出してきて、無礼にも指で杉本瑠璃を指さした。
パンダのような目をした石川賢明を見て、杉本瑠璃は軽く笑い出した。「石川部長、どうしたんですか?海賊の格好をするつもりですか、それともコスプレパーティーに参加するんですか?」
石川賢明には杉本瑠璃と言い争う気分などなく、ただ彼女を指さしながら、四角い顔の警官に訴えた。「橋本警官、私の小切手です。きっと彼女が誰かに命じて奪わせたんです。間違いなく彼女の仕業です。」
石川賢明の小切手が奪われたと聞いて、杉本瑠璃は少しも驚かなかった。すべては彼女の予想通りだった。
先ほど、彼女は怪しげな様子の人物が石川賢明を狙い、小切手を奪おうとしているのを見抜いていた。
「ふふ、石川部長は冗談がお上手ですね。証拠があるなら私は何も言いませんが、証拠がないのなら、名誉毀損で訴えさせていただきますよ。」
杉本瑠璃の眼差しは澄んでおり、少しも罪を犯した様子は見られなかった。橋本警官も長年の警察官としての経験から、杉本瑠璃が嘘をついているようには見えなかった。
それに、杉本瑠璃のような学生が犯罪を犯すとは思えなかった。
以前、石川賢明の話を聞いたのは、彼が杉本瑠璃のことを非常に悪く描写し、杉本瑠璃だけが自分と敵対関係にあり、以前にも揉め事があったと言ったからだ。そのため、調査のために人を連れてきたのだった。
今見ると、事態は石川賢明の言うようではないようだった。