階下で、橋本警官は考えた末、杉本瑠璃に一緒に署に来てもらうことにした。
「杉本さん、私たちと一緒に署に来て調査に協力していただけませんか。心配なさらなくても大丈夫です。通常の手続きで、簡単な質問をさせていただくだけです。」
橋本警官は丁寧に話した。結局、杉本瑠璃はまだ子供なのだから。
石川賢明はそれを聞くと、急に元気づいて、油を注ぐように言った。「そうだ、彼女を連れて行かなければならない。彼女は直接強盗はしていないが、きっと誰かに目を付けて、その人に強盗をさせたに違いない。」
石川賢明は、この事件は杉本瑠璃と関係があると断言した。
杉本瑠璃は協力的に頷いただけで、橋本警官の方を向いて、とても素直で誠実に言った。「そういうことでしたら、私は良き市民として、全力で協力させていただきます。あ、そうそう、石川部長が帰った後、私は確かに他の人と接触しました。橋本警官、その人も一緒に連れて行って話を聞いてみませんか?」
橋本警官は少し驚いた。おそらく、この子供が泣き叫ぶどころか、こんなにも協力的だとは思っていなかったのだろう。すぐに杉本瑠璃への印象が更に良くなった。
杉本瑠璃の言葉を聞いて、もっともだと思い、頷いた。「そうですね。誰と接触されたのですか?」
この時、二階にいた羽田和彦は少し驚き、階下に向かって目を瞬かせた。すると杉本瑠璃が振り返って二階を見上げ、微笑んだ。
「私が接触した人は、二階にいます。」
橋本警官はすぐに二階を見上げた。彼は素人ではない。宝石取引所で二階に上がれる人は、身分が並大抵ではないことを知っていた。
羽田和彦は少し驚いただけで、すぐに反応し、三島様の方を見て冗談めかして言った。「今やっと分かったよ。この杉本瑠璃は本当に賢い。彼女の狙いはお前だ、三島悠羽!」
この杉本瑠璃という子は、曖昧な言い方をして、彼を盾にしようとしただけでなく、二階にどんな人がいるのかも見たかったのだ。
まさに一石二鳥。
年は若いが、考えは深い。三島悠羽に似ているところがある。
「ねぇ...彼女はお前がここにいることを知っているのかな?」
三島悠羽が以前、杉本瑠璃との関係が深いと言っていたので、羽田和彦は二人が知り合いだと考えた。