「鍼灸の技術なら教えてあげられるけど、薬草や薬理学について理解していると言われても、信じられないわ。たった三日の間で、どうしてそんなことが分かるはずがないでしょう。
薬草の識別は基本中の基本で、一つの間違いも許されないのよ」
自分の専門分野について、吉川先生は非常に厳しかった。
現代人で薬草を知る人は少なく、たとえ杉本瑠璃に多少の知識があったとしても、三日間で彼の薬草をすべて識別することは不可能だと思われた。
そのため、吉川先生は杉本瑠璃の言葉に誇張があると感じていた。
杉本瑠璃も吉川先生の心配を理解していた。それは当然のことだった。
「では、師匠、私の実力を試してみませんか?」
吉川先生は眉を上げた。この弟子は自信満々だな。よし、杉本瑠璃の自信を打ち砕いてやろう。
この娘に師匠の実力を見せてやる時だ。
「そうだな。まずは簡単なものから。太子人参の特徴と効能を言ってみなさい」
杉本瑠璃は躊躇することなく、すぐに答えた。「太子人参は子供人参、双批七とも呼ばれ、乾燥した根を薬用とします。根は紡錘形で、茎の下部は紫色です。
性質は平、味は甘くて少し苦いです。
気を補い脾を健やかにし、津液を生成し肺を潤す効能があり、家庭での養生に使用できます」
杉本瑠璃は非常に整然と答え、その落ち着き払った様子に、吉川先生は何度も目を向けた。
「これは最も基本的なことだ。もう一つ質問しよう。白頭翁という薬草の薬用価値について説明しなさい」
この質問は一見簡単そうだが、実は奥が深かった。
杉本瑠璃は少し考えた後、口を開いた。「白頭翁は薬用価値が非常に高く、清熱解毒、涼血、止痢の効能があります」
ここで杉本瑠璃は一旦言葉を切り、吉川先生の目に浮かんだ狡猾な光を見逃さなかった。吉川先生が口を開く前に、さらに続けた。
「しかし、群馬県にはほかにも『白頭翁』と俗称される植物があります。最も一般的なのはネズミガラシとヘビイチゴです。
ネズミガラシには痰を除き、咳を止め、喘息を治め、風湿を除く効能があります。一方、ヘビイチゴには清熱解毒、涼血、止痢の効能があります。
これら二つの薬草は本物の白頭翁には及びませんが、しばしば混同されやすいものです。
師匠、私の回答はいかがでしょうか?」