桐生誠一は興奮して頷いた。「そうなんです。普通は生徒を簡単には受け入れないんですが、毎年一回特別募集があって、特技のある生徒を募集するんです。一番重要なのは、学費が全額免除されることなんです。」
この点は杉本瑠璃も考えていなかった。彼女の印象では、紅葉学園は貴族の子女が通う場所だった。前世で家が破産し、教師に追い詰められて退学させられた後、貴族学校のことを知る余裕なんてなかった。
桐生誠一は杉本瑠璃があまり詳しくないようだと見て、興奮気味に説明を続けた。「今年の特別募集がもうすぐ始まるんです。もし興味があれば、一緒に受けてみませんか?」
「どうして紅葉学園に行きたいの?」
貴族学校での庶民の生徒の立場は、今よりも良くなることはないはずだ。桐生誠一のこの計画は危険で、難しいものだった。