一言で彼女を食べてしまうという言葉に、杉本瑠璃は心臓が激しく鼓動した。
同じ言葉でも三島悠羽の口から出ると、人を赤面させるだけだが、もし羽田和彦が言えば、瑠璃は間違いなく大きな白眼を向けただろう。
これが...憧れの男性と軽薄な男の違いだ。
とにかく、瑠璃から見れば、確かに三島悠羽に弄ばれたのだが、彼の非を見つけることはできなかった。
ほんの数言で、瑠璃は自分が不利な立場にいることに気付いた。三島悠羽は常に彼女の考えを読み取れるようで、それに慣れない感じがした。
本当に読心勝負をするのか?
ふふ、いいだろう、どちらが上手いか見てみよう!
瑠璃は心に決めると、もう慌てることなく、顔を上げて三島悠羽をまっすぐに見つめた。
読心?
それは彼女の得意分野ではないか?
しかし、一秒、二秒、三秒...数え切れないほどの時間が過ぎ、瑠璃は目が疲れてきたにもかかわらず、三島悠羽の心の中を読み取ることができなかった。
瞬時に、瑠璃の心は沈み、ドキリとした。
まさか...彼女の読心能力が、効かなくなったのか!
この能力を得て以来、瑠璃は一度も失敗したことがなかった。読みたくない心以外、読めない心などなかったのに。
なぜ三島悠羽に限って、読心能力が効かないのだろう!
瑠璃の心に不安が走った。もしかして読心ができなくなったのか?
いけない、慌ててはいけない。こんな時こそ、冷静でなければ。
瑠璃は視線を外した。ずっと三島悠羽を見つめているわけにもいかない。そうでなければ、本当に花痴と思われてしまう。
心を落ち着かせると、思考が急速に巡り始めた。
もし三島悠羽の心が読めないとすれば、二つの可能性がある。一つは読心術が効かなくなったこと、もう一つは、三島悠羽が今何も考えていないということだ。
そうだ!
きっと二つ目の可能性だ。
瑠璃は、自分の読心術がこんなタイミングで効かなくなるはずがないと考えた。だから二つ目の可能性の方が高いはずだ。
何も考えていない?
瑠璃はこんな人に初めて出会った。普通の人なら必ず思考があるはず。思考があれば、必ず読み取れるはずなのに。
この三島様は、純粋な心の持ち主なのか、それとも恐ろしいほど深い心の持ち主なのか?
きっと、後者だろう!
危険!