杉本瑠璃が堂々と招かれて中に入り、自分は門前払いを食らったことに、羽田和彦は風に吹かれたような混乱を感じた。
あまりにも理不尽だ!
好奇心に駆られ、杉本瑠璃が三島悠羽を訪ねた理由と、二人の関係が気になって仕方がなかった。
憎たらしい三島悠羽め、杉本瑠璃は中に入れて、自分は入れないなんて。
そう考えると、羽田和彦は全身が不快で、とても腹が立った。
別荘の中で、杉本瑠璃は歩いていくと、年配の執事しか見かけなかった。執事は謙虚で礼儀正しく、心地よい印象を与えた。
「杉本さん、こちらへどうぞ」
杉本瑠璃は執事について歩きながら、薬草堂でのあの一瞬の出会いが、この三島様だったことを知った。
三島様の顔ははっきりと見えなかったが、執事の姿ははっきりと覚えていた。あの日、三島様の車椅子を押していた人物だった。
別荘はとても広く、螺旋階段のデザインが独特で、まさに芸術の最高の表現だった。一階には部屋がなく、キッチンとホールだけだった。
つまり、寝室は二階にあるということだ。
杉本瑠璃は周りを見回したが、別荘にエレベーターは設置されていなかった。エレベーターがないのに、車椅子の三島様はどうやって二階に上がるのだろう?
まさか、執事が毎日背負って上がっているのだろうか?
なぜか、杉本瑠璃は考えているうちに、余計なことを考えてしまった。
今日ここに来たのは薬を届けるためなのに、どうして注意が逸れて、まだ会ったこともない三島様のことを気にかけているのだろう。
杉本瑠璃は頭を振って、頭の中の雑多な疑問を振り払い、執事について裏庭へと向かった。
裏庭に一歩踏み入れると、すぐに車椅子に座った後ろ姿が目に入った。
冷たさと孤独、そして言い表せない温かさを持っていた。
矛盾した感覚だが、彼の上では不思議と調和していた。
陽光が降り注ぎ、三島様は全身が陽光に包まれ、金色の光が三島様の体に金箔を施したかのようだった。そよ風が吹き、庭の金色の金木犀の花が舞い落ち、三島様の肩に落ちた。
三島様は少し首を傾け、肩に落ちた花びらを指で摘み取った。その長く美しい指は、漂う金木犀の香りと共に、まるで絵の中の人物のようだった。
「杉本さん、どうぞお座りください」