羽田和彦は黙ったまま、杉本瑠璃を見つめ、後ろにいる女性のことなど完全に忘れていた。その女性は必死に存在感を取り戻そうとしていた。
「蒼ちゃん、誰を探してるの?部屋番号は分かってる?」
杉本瑠璃は目を流し、何かを考えているようだった。そして羽田和彦を見つめ、意味深な口調で言った。「1208号室、三島様です」
ドーン!
なんだって?
三島悠羽のところへ?!
羽田和彦は驚きの表情で杉本瑠璃を見つめ、一瞬で理解し、また驚きを隠せなかった。
杉本瑠璃は表面上は冷静を装っていたが、心の中では一つのことを確信していた。
師匠の言う三島様と、羽田和彦の知る三島様が、同一人物だということを。
三島グループの謎めいた若き後継者が、障害者だったなんて!
杉本瑠璃は頭の中が混乱していた。これは全く予想外のことで、おそらく爆発的なニュースになるだろう。