第37章 新たな試み

「最近しばらくの間、私はY市に滞在しているので、いつでも治療に来てくれて構いません」

三島悠羽は名刺を杉本瑠璃に渡しながら、「帝国ホテルに入る際、この名刺を見せれば、自然と誰かが案内してくれます。次にお会いする時には、杉本さんではなく杉本先生と呼べるようになることを願っています」

三島悠羽は杉本瑠璃に微笑みかけた。それは初めて会った時のように、再び謙虚な紳士の、温和で優雅な姿に戻り、その笑顔には春の陽気が満ち溢れていた。

しかし今の杉本瑠璃は、もはや三島悠羽を単なる温厚で無害な人物とは考えておらず、むしろ危険な印象を抱くようになっていた。

とはいえ、吉川先生や羽田和彦のように彼を恐れてはいなかった。杉本瑠璃は本質的にそういう性格で、困難に立ち向かうほど強くなるタイプだった。そうでなければ、巨額の借金を背負った後も、自分の色を売って金を稼ぐことを拒み、命を賭けた薬物実験のような仕事を選ぶことはなかっただろう。