杉本瑠璃は直接家に帰らず、薬草堂に向かった。週末の時間を有効活用して、師匠から医術をもっと学ぼうと思ったのだ。
「こんな遅くに来るなんて、今起きたところじゃないだろうな!」
吉川先生は朝早くから杉本瑠璃を待っていたが、彼女が来たのは昼近くになってからだった。待ちくたびれて眠くなり、あくびを連発していた。
杉本瑠璃が入ってきて、吉川先生を見つめた。その眼差しは「私にはあなたの心が見透かせる」と言っているようだった。
吉川先生は不思議そうな顔をして首を傾げていると、瑠璃が言った。「午前中は薬を届けに行っていました。でも三島様は飲まなかったんですけど。」
吉川先生は驚いて目を丸くし、立ち上がって興味津々に尋ねた。「薬を届けに行ったのか?どうだった?あいつ、お前に何かしなかっただろうな?早く師匠に話してごらん。」