修正後:第39章 試してみるのはタダだから

杉本瑠璃は目を伏せ、考え込んだ。

田中恵子は石川賢明に会いに行ったようで、石川賢明も田中恵子から、失くした帳簿が杉本瑠璃の手元にあることを知ったようだ。

だから今日、学校に来た時、石川静香はいつものように嫌がらせをしなかったのだ。

結局、彼女は杉本瑠璃が自分の家の弱みを握っていると疑っており、杉本瑠璃を怒らせれば自分の家にも良くないと思ったのだろう。

しかし、杉本瑠璃は、この平穏な日々はもう長くは続かないと感じていた。

石川賢明の性格からすれば、必ず何か行動を起こすはずだ。

どうやら、もっと注意を払わなければならないようだ。

「蒼、紅葉学園の特技枠で何を使うか決めた?来週末から募集が始まるみたいだよ」

桐生誠一は杉本瑠璃に会うと、小声で尋ねた。

来週?

杉本瑠璃は少し驚いた。まだ先だと思っていたのに、来週末にはもう始まるとは。

紅葉学園は、特別な才能を持つ優秀な学生を募集している。専門科目の成績は最高ではなくても、他の分野で特に際立った才能を持つ人材を。

杉本瑠璃は片手で頬杖をつき、目が虚ろになった。

自分にはどんな特技があるだろう?

読心術は特技として認められるだろうか?

もちろんそれは無理だ。彼女の読心術は一日の使用回数に制限があり、しかもそれを他人に知られてはいけない。もし知られたら、研究所に連れて行かれて研究対象にされてしまうかもしれない。

研究所のことを思い出すと……

杉本瑠璃は一瞬固まり、思考も混乱した。あの場所は、今生二度と行きたくない場所だった。

読心術が使えないなら、写真記憶と早い理解力は才能として認められるだろうか?

しかし、紅葉学園に入学できる生徒は皆成績が非常に優秀で、これらの能力は紅葉学園では特技とは見なされないかもしれない。

これらも駄目なら、どうすればいいのだろう?

まさか占いができると言うわけにもいかない。

実際には占いなど全く分からないが、一度人生を経験した者として、重要な出来事についてはある程度知っている。

もしかしたら予言者として扱われるかもしれない。

いや、これも現実的ではない。予言は時間が経って証明される必要があり、未来の出来事を即座に起こすことはできない。面接官も、彼女の言うことが嘘でないと確認することはできないだろう。

ああ、本当に悩ましい。