しばらくして、斎藤きくこは杉本瑠璃の澄んだ瞳を見つめ、とても確信を持って頷き、躊躇なく言った。「うん、すっきりした!」
なぜだか分からないが、斎藤きくこがそう言うと、杉本瑠璃と彼女の間に言葉では表せない親近感が生まれ、二人は目を合わせて微笑み、目に見えない何かが二人の間を流れた。
斎藤きくこは、見知らぬ人と初対面でこれほど気が合うことがあるとは知らなかった。
杉本瑠璃のこの一蹴りは、斎藤きくこの長年の心の中での最大の願いだった。ただ残念なことに、現実の制約から、彼女は本当に蹴りを入れる勇気がなかった。
そして今日、杉本瑠璃が斎藤つきこを蹴り飛ばしたことは、完全に彼女のその願いを叶えてくれたのだ。
見物していた生徒たちは単なる物見遊山で、杉本瑠璃も斎藤きくこも共に問題を起こしたことは明らかだった。紅葉学園の門前で喧嘩をするなんて、まるで頭がどうかしているようだった。