第55章 才能よ、才能!

杉本瑠璃は残念そうに頷き、先生の言葉に同意した。

「人を殴ることが才能じゃないなら、人を救うことは才能として認められるでしょう」

杉本瑠璃は前から考えていた。読心術や超強力な記憶力が個人の才能として認められないのなら、吉川先生から学んだ医術なら、きっと通用するはずだと。

結局のところ、紅葉学園が求める個人の才能は、そこまで厳しいものではない。彼女は先生の心を読んで分かったのだが、紅葉学園が最初に生徒の心理素質を試験するのは、それを重視しているからだった。

才能に関しては、あれば紅葉学園が極めて優秀な人材に育て上げることができる。

ようやく、先生たちの杉本瑠璃を見る目が普通になってきた。

「どうやって人を救うの?説明してください」

杉本瑠璃は立ち上がり、一番端の先生のところへ歩み寄り、優しく微笑んで言った。「先生、手を出していただけますか?」