杉本瑠璃は歴史館から出てきたが、入る時と同じように少しも落ち込んだ様子はなく、外で待っていた数人の学生たちは興味深そうに見ていた。
りかという女子学生が杉本瑠璃の方に歩み寄り、「あの、合格できましたか?」と尋ねた。
杉本瑠璃はりかを一瞥して、「合格かどうかは通知を待つしかありません」と答えた。
りかは少し落胆した様子で、「私たちの合格の可能性は低そうですね。他の場所では面接官が何らかのヒントを出すと聞いていたのに」とつぶやいた。
杉本瑠璃がすぐに合格通知を受けなかったことから、これ以上の情報は得られないと判断したりかは、もう杉本瑠璃に構わず、次の人が出てくるのを待っていた。
杉本瑠璃は気にせず、ただりかのこの行動が無知だと感じた。
他人が合格したところで、自分とは何の関係もないし、ここで待っているのは時間の無駄だと思った。