第58章 高所恐怖症の羽田和彦

「三島様との関係を考えれば、こんなことを私に聞く必要はないでしょう」

杉本瑠璃は、あの日羽田和彦が1208号室に連れて行った後、完全に面白がって見ていたことを覚えていた。

結果的に策が裏目に出て、彼女は三島様に招かれて中に入り、彼は外に閉め出されてしまった。

羽田和彦は切れ長の目を細め、限りない色気を漂わせた。周りの女性たちは目を奪われていたが、杉本瑠璃だけは冷静さを保っていた。

「蒼ちゃん、私は気づいたんだけど...あなたの目は少し悪いか、それとも美的センスがないのかもしれないね」

杉本瑠璃は笑顔で応じ、ひるむことなくカップの温かい飲み物を一口飲んだ。「羽田様の言外の意味は、私があなたの美貌に魅了されなかったから、目が悪いか、美的センスがないということですね」

「蒼ちゃんは本当に賢いね。でも賢い女性は好かれにくい、少し抜けている方が愛されるんだよ」