この時間帯は温泉に入る人もほとんどいなかったので、杉本瑠璃は小さな温泉を選び、そこには彼女一人だけだった。
温泉に入った瞬間、肌が絹のように滑らかになるのを感じた。確かに山田社長の言う通り、一度入ったら出たくなくなるほどだった。
杉本瑠璃が目を閉じてくつろいでいると、心身ともにリラックスしていた時、誰かの助けを求める声が聞こえてきた。
「助けて、助...助けて」
その声は小さく、杉本瑠璃の耳が敏感でなければ、聞き取れなかっただろう。
杉本瑠璃は目を開け、周りを見回した。この時間帯はほとんど誰も温泉に入っておらず、来た時も人がいるのに気付かなかった。
急いで立ち上がり、バスローブを着て、杉本瑠璃は声のする方へ足早に向かった。奥まった場所にある小さな温泉に着くと、水着姿の女の子が温泉の階段に寄りかかっているのが見えた。体の半分は温泉の中、半分は外に出ており、呼吸が困難そうだったが、まだ意識はあった。