「でも何?」
山口健太は急いで尋ねた。今は緊急事態で、この少女が方法を知っていると言い、杉本瑠璃の基本的な応急処置を見る限り、彼女はある程度信頼できそうだった。
杉本瑠璃も躊躇する余裕はなかった。山口小百合の状態が良くなかったからだ。
「私は医者ではありません。ただ偶然、喘息の治療法を少し知っているだけです。これまで試したことがないので、自信はありません」
山口健太はわずかな希望を抱いていたが、杉本瑠璃の言葉を聞いて、完全に絶望した。
杉本瑠璃が医術を知っていると思っていたが、ただ知識があるだけで、実際に治療したことはないと分かった。
大切な娘を、見知らぬ人に治療させるなんて、とても危険だと思った。
「これは...恐らく...」
山口健太が躊躇するのも無理はない。誰でも躊躇うだろう。