「ふん、そんなに威張るなら、勝負でもしようじゃないか。お前たち新人が、この連中以上のものなのか、見せてもらおうじゃないか!」
山本颯真のこの言葉に、彼の後ろにいた人々は不満げな表情を浮かべた。山本颯真が山田ひろしたちに挑戦していることは分かっていたが、自分たちが「連中」と呼ばれるのは面白くなかった。
誰だって、面子を潰されるのは気分の良いものではない。
勝負?
杉本瑠璃は目を上げ、澄んだ瞳に光を宿し、唇に意味深な笑みを浮かべた。
「勝負?どんな勝負をするつもり?」
山本颯真は目を細め、「みんな原石を選びに来たんだ。誰が一番多くの原石を買えるか、誰の原石が一番価値があるか、誰の原石から一番多くの翡翠が取れるか、勝負しようじゃないか。どうだ、私たちと勝負する勇気はあるか?」
山本颯真は自信に満ちた様子で、勝利を確信しているようだった。
彼らは人数が多く、しかも皆翡翠業界の古参だ。山田ひろしのような少人数で勝てる確率は、ほぼゼロに等しい。
鈴木智也は山本颯真の意図を察したようで、急に態度を変え、得意げに言った。「そうだ、勝負する勇気はあるのか?縮こまって逃げ出すなよ!」
まさに人の威を借る狐とはこのことで、鈴木智也のような人間が、それを見事に体現していた。
杉本瑠璃は微笑みながら、山本颯真たちの考えを見透かしたような眼差しで、相手に劣等感を抱かせるような雰囲気を醸し出した。
「山本社長の提案する勝負は、本当に公平ですね。まあいいでしょう。今日、くずと精鋭の差を見せてあげましょう。長年この業界にいるからといって、人を見下して、自分を大物だと思い込むのは、よくないことだと気付かせてあげましょう。」
汚い言葉は使わずとも、一言一言が心を突き刺す。
山本颯真は深く息を吸い、陰鬱な目つきで杉本瑠璃を睨みつけ、作り笑いを浮かべながら言った。「ふん、勝負なら賭けも必要だろう。山田社長、逃げ出すつもりじゃないだろうな?」
山本颯真の最終的な標的は山田ひろしだった。山田ひろしを罠にはめ、Y市の宝石翡翠業界の大物という称号を奪うつもりだった。
杉本瑠璃のような若造は、別の方法で懲らしめればいい。