「それもそうだな。証人を探すのは簡単だ。お前たちが負けて逃げ出すんじゃないかと心配していたところだ!」
山本颯真は面子を保つため、証人を探すことを主張した。
すぐに、大会の中から重要な証人が見つかった。その証人はこの翡翠協会の副会長で、業界で非常に信頼されている人物だった。
このような人物が証人となることに、杉本瑠璃は納得した。
そして、勝負が始まった。
山本颯真は傲慢な態度で部下たちを連れて原石を探しに行った。一方、杉本瑠璃たち三人はすぐには動かなかった。
「山田社長、私と父が買う原石には、あなたのお金は使いません。ただし、私たちが買う原石は、あなたと山本颯真との勝負の一部として計算してもらえますか?それでよろしいでしょうか?」
山田ひろしは杉本瑠璃と杉本律人にどれくらいの予算を与えるべきか考えていたところだったが、杉本瑠璃が自分のお金で原石を買うと申し出て、それを勝負の一部として計算することを提案してきたことは、むしろ願ってもないことだった。
ただし、山田ひろしは少し気が引けて、「こうしましょう。もし良い原石を見つけて資金が足りない場合は、私が援助しますよ」と言った。
つまり、杉本瑠璃にお金を貸すということだ。知り合って間もない人にここまでするのは、かなり良い対応と言える。
杉本瑠璃は手持ちの500万円から日向あきらに100万円を渡し、これまでの出費を差し引いて、残りの400万円弱を父親と半分ずつ分け、原石購入の資金とした。
杉本律人は少し驚いた。今回は主に見聞を広げるためだと思っていたし、原石を買うとしても大量には買わないだろうと考えていた。まだ経験が足りないので、慎重にならざるを得ないからだ。
杉本瑠璃が突然200万円近くを渡してきたので、彼は任務の重大さを感じ、少し重圧を感じた。
「蒼ちゃん、安心して。お父さんは慎重に選びます。むやみには買いませんから」
これは娘が稼いだお金だ。自分のミスで無駄にしたくなかった。
「お父さん、翡翠業界では失敗から学ぶことも必要です。たくさん買って初めて経験が積めるんです。このような機会は多くありません。この3日間で経験を積んでください。慎重であるべきですが、使うことを恐れる必要はありません」