彼は先ほど、杉本瑠璃が離れた時に、特に杉本瑠璃が選んだ原石を見に行った。一つは品質が良く、翡翠が出そうな感じで、もう一つは普通の品質で、翡翠が出そうにない。
そしてもう一つは更に悪く、品質が驚くほど悪い。素人しか選ばないような原石だった。
「この三つとも君が選んだものだし、どれを選んでも良いと言ったのだから、私が一つ選ばせてもらおうか。それが公平だと思うが、どうだろう?」
ふふ、杉本瑠璃は鈴木智也を横目で見た。この男の考えは顔に書いてあるようなもので、読心をする必要もなく、何を考えているか分かった。
しかし、自ら罠に飛び込もうとする人を止める必要もないだろう。
「どうぞ、構いません」
周りの人々はそれを聞いて、杉本瑠璃という子は本当に馬鹿だと思った。こんな浅はかな考えで勝負するなんて、ふざけているとしか思えない。