第71章 翡翠が出た!

彼は先ほど、杉本瑠璃が離れた時に、特に杉本瑠璃が選んだ原石を見に行った。一つは品質が良く、翡翠が出そうな感じで、もう一つは普通の品質で、翡翠が出そうにない。

そしてもう一つは更に悪く、品質が驚くほど悪い。素人しか選ばないような原石だった。

「この三つとも君が選んだものだし、どれを選んでも良いと言ったのだから、私が一つ選ばせてもらおうか。それが公平だと思うが、どうだろう?」

ふふ、杉本瑠璃は鈴木智也を横目で見た。この男の考えは顔に書いてあるようなもので、読心をする必要もなく、何を考えているか分かった。

しかし、自ら罠に飛び込もうとする人を止める必要もないだろう。

「どうぞ、構いません」

周りの人々はそれを聞いて、杉本瑠璃という子は本当に馬鹿だと思った。こんな浅はかな考えで勝負するなんて、ふざけているとしか思えない。

あまりにも子供じみている。

鈴木智也は三つの原石を見た。選んでいるように見えたが、実際には既に決めていた。

品質の良い原石は当然選べない。そして、極端に品質の悪い原石も選ばなかった。

もしそれを選んだら、周りの人から子供いじめだと非難されるかもしれない。勝っても面白くない。

むしろ普通の品質の原石を選んだ方が、不公平だと思われないだろう。

「これにしよう」

鈴木智也は見せかけるように普通の品質の原石を指さした。案の定、周りの人々は彼が不公平だとは思わなかった。

むしろ、鈴木智也はいい人だと思われた。品質の悪い原石を選ばなかったからだ。

周りの人々の視線を見て、鈴木智也は少し浮かれた気分になった。彼は誰にも文句を言わせないようにするつもりだった。

杉本瑠璃は意味深な笑みを浮かべた。予想通りの展開だった。

しかし、これはむしろ良かった。後でもっと面白くなるはずだ。

「はい、これで。店主さん、これらの原石を原石切りの場所まで運んでください。私の残りの二つの原石も一緒に、全部切りたいと思います」

店主は快く人を呼び、数人の屈強な男たちが協力して原石を運搬車に載せ、原石切りの場所まで運んだ。

その場で原石を切ることになっていたので、杉本瑠璃と鈴木智也はその場で代金を支払った。

原石切りの場所に着くと、ちょうど二つの空いた場所が隣り合わせにあり、まるで彼らのために用意されていたかのようだった。