第70章 老いた生姜は辛い

そう考えると、鈴木智也は自信を持って、ポケットから小切手を2枚取り出した。1枚は自分の10万元、もう1枚は山本颯真の50万元だ。「よし、ここに60万元がある。賭けに乗ろう。でも、あなたは60万元じゃなくて、200万元を出さないといけない。全財産を賭けるって言ったでしょう?私の全財産は60万元で、あなたは200万元。ごまかしはダメですよ」

鈴木智也の欲深さには呆れるが、杉本瑠璃は気にしていなかった。なぜなら、200万元は彼女のものだし、鈴木智也の60万元も結局は彼女のものになるのだから。

周りの人々は鈴木智也のやり方に不快感を覚えていたが、二人の勝負の結果が気になったので、何も言わずに見守ることにした。

「いいでしょう。そこまで追い詰めませんが、負けた場合は土下座して『ご主人様』と呼んでくださいね」

杉本瑠璃は寛容な態度で言い放った。鈴木智也が怒りで鼻を歪めているのも気にせずに。

この店の原石は、杉本瑠璃がすでにすべて触って確認済みだった。どの原石が良い手触りなのか、彼女は心得ていた。

鈴木智也は袖をまくり上げ、まるで大勝負に挑むかのような様子だった。後ろには二人の手下が控えており、原石を鑑定するための道具を持って、鈴木智也が必要とするものを提供する準備をしていた。

彼らがそうしているのは、鈴木智也が勝負に勝って200万元を手に入れた後、多少の見返りがもらえることを期待してのことだった。

鈴木智也側の大がかりな様子に比べ、杉本瑠璃の方は質素そのものだった。一人きりで、道具も何も持たず、ただ歩き回って見たり触ったりするだけで、素人同然に見えた。

杉本瑠璃のその様子を見て、鈴木智也はますます自信満々になり、真剣に選ぶ必要もなく、それなりに見栄えの良い原石を適当に選んでも勝てると思い込んでいた。

そう思っていても、鈴木智也は最高の原石を選ぼうと全力を尽くし、選び始めてから2時間以上が経過した。

「もう選び終わった?まだなら、私は他の店に行って原石を選んでくるわ」

杉本瑠璃はこの店から3つの原石を選んでいた。これらは前の店のものより高価で、10万元もかかった。

かなりの大金を使ったと言えるだろう。

しかし、この3つの原石は杉本瑠璃のお気に入りで、水のように滑らかな手触りは絶品だった。