第74章 魅惑の紫!

鈴木智也はそれを聞くと、目を輝かせ、連続して「いいね」と言った。杉本瑠璃が持っている見た目の悪い原石からは、絶対に翡翠は出てこない。そうなれば彼の勝ちだ。

周りの観客たちは、ため息をつきながら、不満げに言った。

「この娘さん、あまりにも騙されやすすぎじゃない?」

「なんてバカなの?明らかに勝っていたのに、自分から苦労を招くなんて!」

「胸が痛むわ、本当に。もう見ていられない。残りの二つの原石のうち、一つは良さそうだけど、もう一つは...ああ、見るに耐えないわ。」

「はぁ、結局のところ、この娘は経験が浅すぎて、純粋すぎるのよ。」

「ちっ、明らかにあの男が厚かましすぎるのよ。よくそんなことが言えたものね。」

外の人々がどう議論しようと、鈴木智也は杉本瑠璃の言葉を聞いた後、すっかり気が楽になった。

ハハ、どうやら形勢が逆転し、暗闇の中に光が見えた。あの二百万はまた彼のものになりそうだ。

鈴木智也はこのわずかな時間で、天国から地獄へ、そして地獄から天国への感覚を味わった。

「早く、原石を切ってください。」

杉本瑠璃は焦っていなかったが、むしろ鈴木智也の方が焦って、田中さんに早く原石を切るよう促した。

田中さんは杉本瑠璃を見て、彼女が軽くうなずいて同意するのを見てから、再び立ち上がり、手を清めて拭き始めた。今回は時間がかかり、まるで幸運を少しでも多く受けたいかのようで、後で杉本瑠璃のために良い翡翠を出せるよう願っているようだった。

「お嬢さん、どちらを先に開けましょうか?」

杉本瑠璃は唇に指を当てて、少し考えてから、見た目の良い方の原石を指さした。

「まずはこちらを開けましょう。」

「承知しました!」

田中さんは快く、見た目の良い原石を運んでもらい、しばらく慎重に観察して、どこから手をつけるか考えた。

少し考えてから、先ほど杉本瑠璃が前の原石を切る時に、直接切るように特別に指示したことを思い出した。そして実際に緑が出てきたのだ。

そのため、作業を始める前に、杉本瑠璃に確認した。

「これはどのように切りましょうか?直接切るか、それとも研磨しますか?」

杉本瑠璃は原石を見て、そして言った。「これは丁寧に研磨する必要がありそうです。時間と体力を使いますが、お願いできますか。」