賭ける人がどんどん増えて、場は熱気に包まれていた。
こちらでは原石を切る速度もどんどん速くなり、すぐにほとんどの人の最初の原石が切り終わった。
「どうだ、結果は見えたか?両方からどれだけの翡翠が出たんだ?」
誰かがもう待ちきれない様子だった。
最終的な集計では、山田ひろし側の56個の原石のうち、翡翠が出たのはわずか12個で、良いものも悪いものもあったが、特に目を見張るようなものはなかった。
一方、山本颯真側は異なっていた。25個の翡翠が出て、高氷種のものもあり、品質も悪くなかった。これだけを比べても、山田ひろしはすでに負けていた。
この結果を見て、山本颯真はさらに得意げになり、尾が天まで届きそうなほどだった。
「ハハハ、山田、私が知る限り、この数日間で買ったのはこれだけだろう?今はもう全部切り終わったんじゃないか。私は違う、まだたくさん切っていない原石がある。言ってみろ...この勝負をまだ続ける必要があるのか?」
山田ひろしは体が硬くなった。彼の切り札を山本颯真は全て知っていた。今は杉本瑠璃に期待するしかなかった。
杉本瑠璃は山田ひろしを一瞥してから、笑いながら一歩前に出て、傲慢な山本颯真に向き合った。
「山本社長は自信満々のようですね。でも大丈夫、私は人の自信を打ち砕くのが好きなんです。さあ、第二波の原石を運んできてください。」
杉本瑠璃が手を振ると、すぐに人々が原石を運び始めた。速やかに、杉本瑠璃側は彼女が買った原石を切り始めた。
山本颯真側も負けじと、第二波の原石に取り掛かった。
第二波、第三波、第四波の原石を切り終えると、杉本瑠璃側の翡翠の数は山本颯真と大きな差がついた。山本颯真側はすでに100個以上の翡翠を出していた。
一方、杉本瑠璃側は30個程度だった。
つまり、切った多くの原石は無駄石で、中に翡翠が含まれている原石は多くなかった。
そして今や、完全に一方的な展開となっていた。
このまま第五ラウンドに入れば、杉本瑠璃側は基本的に負けが確定する。
第五ラウンドが始まる頃には、周りの群衆の熱気はほぼ消え失せていた。山本颯真は杉本瑠璃の原石がこのような結果になることを予想していたようだった。
「お嬢ちゃん、私と勝負するにはまだ早いな。これが最後の原石だ。切り終わった後で泣かないでくれよ。」