桐生誠一は不気味な目で斎藤きくこを見つめ、警戒するように言った。「まさか、あいつのことが好きになったんじゃないだろうな?」
斎藤きくこは一瞬驚き、桐生誠一を睨みつけた。「何を考えているの?私はそんな女の子を引き寄せるタイプの男の子なんて好きじゃないわ」
彼女はただ杉本瑠璃と桐生誠一が安藤颯を知っているから、少し詳しく聞いただけなのに、桐生誠一に安藤颯のことが好きだと誤解されてしまった。
なんという論理だろう。遠くから一目見ただけで人を好きになれるなんて、彼女を馬鹿にしているのか?
桐生誠一は斎藤きくこのことをよく知らなかったが、杉本瑠璃は知っていた。斎藤きくこにはずっと彼氏がいなかった。杉本瑠璃が以前聞いたとき、斎藤きくこは「男がやれることは私にもできる。男なんて何の役に立つの?」と答えた。