第90章 露骨な挑発

桐生誠一は冷たい目で安藤颯を見て、不機嫌そうに言った。「お前みたいなイケメンでも来られるんだから、俺たちみたいな優秀な学生が来られないわけがないだろう」

斎藤きくこは安藤颯の過去の行いを知り、当然彼に良い顔をしなかった。さらに先ほどの安藤颯の言葉に、斎藤きくこは不快感を覚えた。

「あなたって面白い人ね。ここに来られるのは紅葉学園の決定だからでしょう。まさか紅葉学園の決定を疑っているの?いいわよ、みんながいる今、校長先生にあなたが決定に疑問を持っていることを伝えましょうか?」

安藤颯の表情は一瞬で暗くなった。いつもの笑顔も消え、自分の容姿が斎藤きくこの前では通用しないことに気づいた。

「まったく理不尽だ」

この状況で、安藤颯は本当にきくこが校長のところまで行くのではないかと心配になった。こんな早い段階で目立ちたくなかったからだ。そうなれば自分が苦しむことになる。

安藤颯はそう言い残して、大股で立ち去った。

斎藤きくこは軽蔑の眼差しで「やっぱりクズ男ね」と言った。

以前、桐生誠一が安藤颯のことを話した時は、多少個人的な感情が混ざっているのかと思っていたが、今、安藤颯本人を見て、桐生誠一の言っていたことが正しかったと実感した。安藤颯は典型的なクズ男だった。

壇上で、杉本瑠璃は考えた後、「経済学部です。経済を学びたいと思います」と言った。

すでにビジネスの道を進むことを決意し、まず社会的地位を固めてから、自分のアイデンティティの変化の原因を探ることにしたのだから、経済を学ぶのが最適だと考えた。

彼女は以前ビジネスをしたことがなく、たとえ今、偶然にもビジネスができる立場になったとしても、転生によって知っている将来の経済動向だけでは不十分だった。体系的に経済を学ぶ必要があった。

「経済学部?ふふ」

山本主任は杉本瑠璃の答えを聞いて、すぐに笑みを浮かべた。

「私たちの紅葉学園経済学部はエリート中のエリートで、誰でも入れるわけではないことを知っているのかな」

山本竜也のこの発言は間違っていなかった。杉本瑠璃を困らせようとしているわけではなく、紅葉学園経済学部の卒業生はほとんどが国内の重要な人材となり、各大学が争って欲しがる人材だった。多くの紅葉学園の学生が経済学部で学びたいと思っているが、残念ながら、チャンスは誰にでもあるわけではなかった。