商店街にある古風な杉本宝飾がオープンすることになった。その裏にいるオーナーこそ、この杉本瑠璃だ!
一瞬にして、皆が杉本宝飾に興味を持ち、注目し始めた。
「蒼、すごいね。この件を利用して、宝飾店の宣伝までできるなんて!」
日向あきらは杉本瑠璃に対して、完全に感服してしまった。
彼は杉本瑠璃が一石二鳥を狙っていると思っていたが、実際は一石三鳥だったのだ!
「最近、記者が多く来ているはずです。この件の発端は私に関係がありますから。皆さん大変でしょうが、私は最近学校に行けません。学校で発表会があって、忙しいので。」
目的は達成された。杉本悠斗も山本颯真も、今は頭を抱えている状態で、最終的な勝者は杉本瑠璃だけ。彼らは単なる捨て駒に過ぎなかった。
「記者たちの対応は任せてくれ。君は学校の方に集中していいよ。山本颯真がここで痛い目に遭ったから、山本竜也がまた何か悪だくみをしているかもしれないしね。」
日向あきらは時々杉本瑠璃を本当に気の毒に思った。杉本瑠璃は若いのに、学業もあれば起業もあり、さらに家族の厄介な親戚たちにも対応しなければならない。
紅葉学園は生き残るのが難しいことで有名だ。それに学生課の山本竜也もいるので、日向あきらはできるだけ多くのことをして、杉本瑠璃の負担を軽減しようと思った。
この数日間、杉本瑠璃と鈴木ゆうすけの連携は既に上手くいっており、四手連弾の課題を順調にこなすことができるようになっていた。杉本瑠璃も鈴木ゆうすけもほっと胸をなでおろした。
ただ、安藤颯に会うたびに、安藤颯の表情はあまり良くなかった。杉本瑠璃もそのクズ男の相手をする気が全くなかった。
時は早く過ぎ、すぐに年末発表会の日となり、全ての生徒が興奮し、期待に胸を膨らませていた。
学校が今回の年越し発表会に参加する来賓リストを公表したからだ。
「すごい!まさか今回の年越し発表会に、紅葉学園の伝説的な人物が来るなんて!」
「私も聞いたわ、医学部のあの人でしょう!」
「うわぁ!息ができない!私の推し、推しが来るの!やっと直接会えるわ。知ってる?私の推しに会うのってすごく難しいのよ。卒業してからこんなに経つのに、学校主催のこういう活動には一度も参加したことがないみたいなの。まさか今年はゲストとして来てくれるなんて!」