実は山本竜也が杉本瑠璃と三島様の関係が深いことを知った時、もう杉本瑠璃と対立したくなくなっていた。彼は杉本瑠璃を恐れてはいなかったが、三島様は怖かった。
残念ながら、彼の気付きは遅すぎた。この件を何とか取り繕って、後で杉本瑠璃に取り入る機会を見つけることを願うばかりだった。
山本竜也は山本颯真と比べると、状況判断のできる人間だった。杉本瑠璃と良好な関係を築けば、いつか三島様とも繋がりができるかもしれない。それは素晴らしい機会になるはずだった。
杉本瑠璃の方では、翡翠店の改装もほぼ完了し、あとは杉本瑠璃が開店日を決めるだけとなっていた。杉本瑠璃はこの件を父親に任せることにした。長年のビジネスマンである父親は、こういったことには詳しかったからだ。
杉本律人も忙しく立ち回っていた。父親が再び活気を取り戻し、破産時の憂鬱な様子が消えていくのを見て、杉本瑠璃は家族の生活がますます良くなっていくと感じていた。