バン!
「誰だ?」
書斎の外で音がした。山本颯真と山本竜也の兄弟は目を合わせ、素早く扉に向かって歩き、書斎のドアを開けると、何か衝撃的な秘密を聞いてしまったかのように動揺している石川静香の姿が目に入った。
石川静香は震えながら二人の叔父を見つめ、「私...私はただ通りかかっただけです。何も聞いていません!」
山本颯真と山本竜也は顔を見合わせ、静香を部屋の中に引き入れた。山本颯真は少し険しい表情で、「静香ちゃん、今何を聞いた?」
石川静香は反射的に首を振ったが、山本颯真と山本竜也が彼女を見つめ続け、明らかに彼女の言葉を信じていないことを悟ると、意を決して急に顔を上げた。「叔父さんたち、確かに会話は聞いてしまいました。でも心配しないでください。私が一番憎いのは杉本瑠璃なんです。杉本瑠璃さえいなければ、父は刑務所に入ることもなかった!できることなら、この手で杉本瑠璃を殺してやりたいくらいです!」
山本颯真と山本竜也は顔を見合わせ、少し驚いた様子で、山本竜也が疑問そうに尋ねた。「お前の父親の件も、杉本瑠璃の仕業なのか?」
石川静香は必死に頷いた。「そうです、彼女がやったんです。叔父さん、安心してください。絶対に誰にも言いません。私に何か手伝えることがあれば、協力させてください!本当です、本当に手伝いたいんです!」
山本竜也は長い間黙っていたが、やがて口を開いた。「前に紅葉学園に行きたいと言っていたな。この数日で手配するから、直接行けばいい。ただし、私との関係は誰にも言うなよ。後のことは、私から指示を出す」
石川静香の目が輝いた。彼女はずっと紅葉学園に行くことを望んでいた。山本竜也は手配すると言っていたが、なかなか実現しなかった。まさか数日後には行けるとは。
「ちょっと待ってください。もう一つお願いがあります」
山本竜也は眉を上げた。石川静香は確かに姪だが、それほど親しい間柄ではない。紅葉学園への手配も別の思惑があってのことだ。それなのに今度は条件まで出してくるとは。
「何だ?」
石川静香は望みがありそうだと感じ、すぐに言った。「叔父さん、私は安藤颯が好きなんです。以前叔父さんが彼に何かを命じたことは知りませんが、もし彼がうまくできなかったとしても、叔父さんが責めないでほしいんです。私が紅葉学園に行くのも、安藤颯のためなんです!」