第130章 陰謀と甘い雰囲気(4)

三島様は一瞬驚いた表情を見せた。最初は杉本瑠璃を少し からかうつもりだったが、彼女は少し恥ずかしがっただけで、すぐに堂々とした態度を取り、逆に彼を困らせてしまった。

珍しく、三島悠羽の表情が一瞬固まり、素の表情を見せた。杉本瑠璃はそれを見て、三島悠羽が少し可愛らしく感じた。

先機を制した杉本瑠璃は、笑顔で堂々と三島悠羽の前に歩み寄り、目を細めて笑いながら言った。「では三島様、案内をお願いします。こんな豪華な別荘で、お風呂場もきっと特別なものなんでしょうね」

杉本瑠璃の少し冗談めいた言葉を聞いて、三島悠羽は面白く感じた。長年、外の人々に対して温和な紳士のような態度を見せていたが、実際には、皆が彼を恐れていることを彼はよく知っていた。

彼の周りの人々は皆彼を恐れ、彼を知らない人々は彼を仰ぎ慕っていた。幼なじみの羽田和彦でさえ、幼い頃から一緒に育ち、時には遠慮なく振る舞うこともあったが、実際には、三島悠羽は知っていた。羽田和彦も彼を恐れているということを。

唯一杉本瑠璃だけが、彼にとって意外な存在だった。この女性は彼の美しさに魅了されることもあり、他の女性のように恥ずかしがることもあったが、それは無意識の反応に過ぎないようで、すぐに彼女の目には冷静さが戻り、さらには彼に挑戦しようとする意欲さえ見えた。

彼は認めざるを得なかった。杉本瑠璃は賢い女性であり、また神秘的な女性でもあった。彼は前後して二度杉本瑠璃を調査したが、彼女の本質を見抜くことができなかった。これは三島悠羽を驚かせ、また彼の好奇心を掻き立てた。

そう考えると、三島悠羽も普段の様子を取り戻し、軽く笑いながら、眉を少し上げ、その絶世の容貌に獲物を捕らえる時のような興味を帯びた表情を浮かべた。

「ふふ、いいでしょう。こちらへどうぞ」

バスローブを着た三島悠羽が大きな歩幅で浴室の方向へ歩き出すと、杉本瑠璃は彼の後ろ姿を見て、まるで神々が造り上げたような三島悠羽に、再び感嘆の声を漏らした。

後ろ姿一つとっても、まるで俗世を超越した仙人のように颯爽としていた。しかし、このような完璧な人物に、天は大きな悪戯を仕掛けた。毎日苦痛に耐えながら、偽りの仮面を被り、表面は平静を装いながら、内には激しい波が渦巻いているのだ。