第149章 三島悠羽と宴会へ（13）

三島悠羽は車椅子を押して杉本瑠璃の側に来て、彼女を上から下まで観察した。彼女の靴先が踏まれて凹んでいるのを見て、綺麗な眉をしかめながら言った。「早く注意すべきでしたね。私の弟は小さい頃から体の動きが不器用で、ダンスも長年習ってやっと上手くなったんです。足元に気をつけるように言っておくべきでした。タイラー師匠が直接デザインしたこの靴が台無しになってしまって」

えっ？

これはどういう状況？

ブラックカードの件じゃなかったの？どうして三島明の不器用さの話になったの？

待って、杉本瑠璃の履いているこの靴は、世界的に有名なデザイナー、タイラー師匠の作品なの？

なんてこと！

タイラー師匠は技術が素晴らしいけど、気難しい性格で、誰でも彼の作品を手に入れられるわけじゃない。首脳陣でさえ、タイラー師匠の作品が欲しければ、彼の機嫌次第なのに。まさかここでタイラー師匠の作品を見ることになるとは！

杉本瑠璃は瞳を輝かせ、三島悠羽の意図を即座に理解したようだった。「そうなんですか...それはどうしましょう？そんな高価なものなら、私には弁償できません」

三島悠羽は三島明の方を向いて、ゆっくりと話し始めた。「タイラー師匠が気難しいのは周知の事実です。もし彼の作品が傷つけられた場合、傷つけた本人が直接修理しなければなりません。さもないと、今後二度と彼の作品を手に入れることはできません。この靴を傷つけたのは三島明なのだから、三島明が自ら解決すべきでしょう」

杉本瑠璃は三島悠羽が三島明を困らせようとしているのは分かっていたが、ただ金銭的な賠償を求めるだけだと思っていた。まさか三島悠羽がこんな悪趣味な方法で、三島明に直接靴の修理をさせようとするとは！

高貴な三島家の三男が、人の靴の修理なんかをする羽目になるなんて、まさに面目丸つぶれの出来事だ。

三島明は当然同意するはずもなく、「冗談じゃない！」と言い放った。

三島悠羽はそんな三島明の反応を予想していたかのように、淡々と笑いながら言った。「三島家の三夫人は特にタイラー師匠の作品がお好きだと聞いています。これからはタイラー師匠の作品とは縁がなくなってしまうようですね」

これは...