第157章 同室で過ごす(6)

「ゴホンゴホン、まったく...勉強になったわ」

杉本瑠璃は少し気まずそうに口を開いた。三島悠羽は無関心に笑って、「これでいい。母を邪魔されずに済む」と言った。

なるほど、杉本瑠璃にはわかった。悠羽は父親のことを全く良く思っていないようだ。

「昨日の二杯のお酒には問題があった」

杉本瑠璃はついに正面から悠羽と昨日の件について話し合った。二人とも三島明が彼女に渡そうとした酒に問題があることに気付いていたが、三島明自身の杯にも問題があったとは思いもよらなかった。

悠羽は頷いて、「三島明も誰かに仕組まれたようだな。お前は黒幕が誰だと思う?」

悠羽は杉本瑠璃の方を向いて、眉を少し上げた。彼も、この杉本瑠璃がどれほど賢いのか知りたかった。

杉本瑠璃は少し躊躇してから、こう切り出した。「お酒は佐藤よしみが三島明に渡したもので、明らかに三島明は私の杯に問題があることを知っていましたが、自分の杯にも問題があることは知らなかった。佐藤よしみは私とは多少の確執がありますが、せいぜい私を狙うくらいで、理由もなく三島明に手を出すことはないでしょう。だから...佐藤よしみではなく、別の誰かでしょう。この人物は、佐藤よしみを利用して、私と三島明を同時に陥れようとしたのです」

杉本瑠璃は初めてパーティーに参加したばかりで、以前から彼女を知る人は多くなかった。彼女を知っていて、かつ三島明に敵意を持つ人物は...

杉本瑠璃はしばらく考え込んでから、突然顔を上げ、悠羽の穏やかな瞳を見つめた。

「もしかして...三島聡!」

その通り!

三島聡の可能性が最も高い。

三島聡と彼女には衝突はなかったが、彼女は読心で三島聡の心を読み取り、彼が偽善者であることを知っていた。表面上は礼儀正しく、寛容で純朴な態度を見せるが、実際には自分の打算があり、腹の中は陰謀と策略でいっぱいだった。

杉本瑠璃と三島明を同時に陥れるなんて、他の誰も彼を疑うことはないだろう。

もし彼女と三島明がパーティーで醜態を晒せば、表向きは彼女が悠羽の側近なので、そのような見苦しい事態になれば、恥をかくのは三島明と悠羽の二人だ。

二人はこの件で衝突する可能性もある!