第160章 同室で過ごす(9)

杉本瑠璃は一瞬固まり、そして無意識に手を車の座席の下に伸ばすと、確かに、硬いものに触れた。

本当に拳銃?

杉本瑠璃は心の中で衝撃を受けた。彼女はテレビでしか拳銃を見たことがなく、現実の生活では、このようなハイテク機器を見たことがなかった。

ただし……

三島悠羽の車に、なぜ銃があるのだろう?

深く考える余裕はなく、杉本瑠璃はその硬い拳銃を座席の下から取り出した。見下ろすと、確かに非常に精巧な作りの拳銃で、全体が漆黒に輝き、手に持つと重みがあった。

杉本瑠璃は三島悠羽の意図を大体理解した。拳銃を使って彼らと戦えということだ。朝日執事は手と肩を負傷し、田中さんは今は出血は止まったものの、半昏睡状態だった。

三島悠羽は運転中で、彼女が最適任だった。

しかし杉本瑠璃は拳銃をしばらく見つめた後、少し困ったように三島悠羽を見て言った。「これ、どうやって使うの?」

テレビでは銃を撃つのは簡単なことのように見えた。引き金を引くだけのはずだったが、実際に銃を手にしてみると、全然そんな単純なものではなかった。

「私がやりましょう、杉本先生、銃を私に。痛っ!」

朝日執事が動くと、腕の傷からまた血が滲み出した。医者として、杉本瑠璃は自分が治療した患者に新たな問題が起きることを許すわけにはいかなかった。

さらに朝日執事は後部座席に座っており、三島悠羽の後ろ側にいた。窓を開けて撃つとなると、後ろの人間に三島悠羽の後頭部を狙われ、窓から撃たれる可能性が高かった。

「大丈夫です、私がやります。撃ち方を教えてください。」

朝日執事は三島悠羽を一瞥した。三島悠羽は運転中だったが、朝日執事は依然として三島悠羽の指示を待っていた。

「朝日、休んでいろ。まずは彼女に撃ち方を教えてやれ。いずれ学ばなければならないことだ。こんな良い練習の機会を逃すのはもったいない。」

杉本瑠璃は三島悠羽の言葉を聞いて、目じりがピクピクした。まったく、これは確かに三島悠羽らしい発言だった。

朝日執事は三島悠羽の命令を受け、すぐに杉本瑠璃に射撃の方法を教え始めた。杉本瑠璃も非常に真剣に聞き、すぐに原理を把握した。今すぐ実践できそうだった。

助手席に座った杉本瑠璃は、深く数回呼吸をして、心を落ち着かせた。