杉本瑠璃が予想もしなかったことに、三島悠羽は斎藤きくこの質問に答えたのだ。
「私は食事を済ませました。杉本先生に付き合うだけです」
ぷっ!
杉本瑠璃は水を飲んでいて、むせそうになった。斎藤きくこも完全に呆然としていた。三島様は冷たくて女性に関わらないと聞いていたのに、今の発言は彼女の質問に答えたのではないか?
それに...今の聞き間違いではないよね。三島様は既に食事を済ませていて、わざわざ杉本瑠璃に付き合うために来たと言ったのだ。これは...あまりにも不思議すぎる。
斎藤きくこだけでなく、桐生誠一も違和感を感じていた。桐生誠一は常に杉本瑠璃に注目していたので、三島悠羽のこの行動に脅威を感じていた。
「蒼、私たち法学部の学生が集まりたいと言っているんだ。君も誘いたいと思って。きくちゃんも参加すると言ってくれたよ」
自信がなかったのか、桐生誠一は最後に斎藤きくこを引き合いに出した。斎藤きくこは桐生誠一を見たが、彼の言葉を否定はしなかった。
三島悠羽は目を上げて桐生誠一をちらりと見た後、じっと見つめ続けた。桐生誠一も男として、三島悠羽にそのように見られて負けを認めたくなかったので、三島悠羽と視線を合わせた。
まるで意地を張り合うかのように。
杉本瑠璃と斎藤きくこは食事をしながら会話を楽しんでいたので、三島悠羽と桐生誠一の様子には気付かなかった。
すぐに桐生誠一は敗北を認めた。三島悠羽は淡々と桐生誠一を見ているだけで、特に威圧感を出しているわけでもないのに、既に桐生誠一は耐えられなくなっていた。
さらに、桐生誠一が三島悠羽の姿をはっきりと見たとき、顔が赤くなってしまった。
桐生誠一は男だが、まさか自分がある日、一人の男性を見つめて顔を赤らめることになるとは思わなかった。認めたくないが認めざるを得ない、三島悠羽は本当に人を魅了する存在だった!
まるで暗闇の中で輝く星のように、無視することができない。もちろん、もう一つの理由として、桐生誠一は自分が他人より劣っているとは思ったことがなかったが、三島悠羽の前では、その落ち着き払った態度と、まるで世界のすべてを掌握しているかのような風格を見て、自分と三島悠羽との差を深く実感した。
しかし桐生誠一は卑屈になるのではなく、むしろ努力して頑張ろうという闘志が湧いてきた。