杉本瑠璃の手は、水中で探り続けていた。水中では視界が遮られているため、手探りで少しずつ探りながら、ツボを探していた。
触れた感触は非常に滑らかで、ただ三島悠羽の体は冷たく、水温よりも冷たかった。
さらに時間が経ち、八本の鍼を打ち終え、最後の一本を残すところまで来たが、杉本瑠璃はすでに汗を流していた。胸は呼吸のために上下し、体の動きに合わせて水面が波打っていた。白いシャツは完全に濡れ透け、中の淡いピンク色が明らかに見え、繊細な鎖骨、白い肌、そしてその淡いピンク色は、絶え間なく誘惑的な雰囲気を放っていた。
これらすべては杉本瑠璃が意識していないことだった。彼女の頭の中は今、最後の一本を正確に打つことだけで、これまでの努力を無駄にしてはいけないと考えていた。
杉本瑠璃は自分の体調を理解していた。高度な集中力を要し、体全体が緊張し、精神的にも非常に消耗していて、手首まで震え始めていた。
彼女の限界は九本までだった。もし転生後に自分の精神力が通常の何倍もあることに気付いていなければ、他人が何年もかけて習得する鍼灸術をこれほど短期間で習得することは不可能だっただろう。
もちろん、連続で九本の鍼を打てることは、彼女が天才であることの証だった。
多くの経験豊富な漢方医でも、五本が限界で、その後は長期間の休養が必要となるだろう。
杉本瑠璃がこれほどの鍼を打っても気を失わずにいられることは、すでに奇跡と言えた。
「もう少し近づいて。最後の一本は腰の後ろだけど、もう力が残っていないの」杉本瑠璃は九本連続で鍼を打っても集中力を保てると思っていたが、最後の一本の時には、少し休む必要があった。
最後の一本は三島悠羽の背中にあり、今は彼と向かい合っている状態だった。手首は痛みで疲れ果て、鍼を持つ指にも力が入らなくなっていた。少し力を回復する必要があり、最後の一本を打つには三島悠羽の支えが必要だった。
杉本瑠璃は大きく息を繰り返していた。水中では水圧で長時間いると呼吸が困難になるため、大きく呼吸するしかなかった。
もし強情な性格で頑張っていなければ、杉本瑠璃はとっくに力尽きていただろう。
一方の三島悠羽は、脚の痛みに耐えながらも、手を上げて水中から杉本瑠璃の腰を支え、彼女に支点を与えた。