第198章 お前は私に体を洗わせたいのか（12）

「まさか！こんな大きな別荘なのに、私のベッドしか残ってないなんて！」

杉本瑠璃は絶対に信じられなかった。別荘には部屋がたくさんあるのに、どうして彼女と三島悠羽の部屋のベッドだけが残っているのだろう。

「この別荘には私たち二人しか住んでいないから、ベッドも二つしかない。今、私のベッドが壊れたから、当然君のベッドしか残っていないんだ」三島悠羽はゆっくりと説明した。

「でも朝日執事がいるじゃない。朝日執事のベッドで寝ればいいでしょう」二人の男性が一緒に寝るのは少し奇妙だけど、彼女と一緒に寝るよりはましだろう。

「朝日執事はこの別荘には住んでいない。別の住まいがあるんだ」三島悠羽は面倒くさそうに答えた。

瑠璃は一瞬言葉に詰まった。ここは三島悠羽の領域で、彼女は一時的な滞在者に過ぎないのだから。

「じゃあ、あなたがここで寝て。私はソファーで寝るわ」三島悠羽は主人であり、病人でもある。彼をソファーで寝させるわけにはいかない。

「リビングのソファーは汚れてしまって、朝日執事に処分させた」三島悠羽はゆっくりと言い、瑠璃の全ての退路を断った。

えっ！

瑠璃は完全に呆然とした。そういえば、帰ってきた時にリビングが何か違う気がしたけど、その時は気にしなかった。今、三島悠羽にそう言われて、確かに入ってきた時にあのソファーが見当たらなかったことを思い出した。

でも、ソファーがこのタイミングで汚れるなんて、そんな都合の良い偶然があるだろうか？

しかし、三島悠羽のあの深刻な潔癖症を考えると、ソファーが本当に汚れていたら、こんなことをする可能性は十分にある。

じゃあ...今どうすればいい？

瑠璃は他の方法を考えていたが、考えれば考えるほど、他に方法がないように思えた。

「じゃあ、あなたがベッドで寝て、私は床で寝るわ」これしか方法がない。三島悠羽と同じベッドで寝ることに、瑠璃は深い脅威を感じていた。

「男として、君を床に寝かせるわけにはいかない。君が気にするなら、私が床で寝よう」三島悠羽は断固として言い、態度も強硬だった。

瑠璃は最初「いいわ」と言おうとしたが、三島悠羽が昨日発作を起こしたことと、彼の体調を考えると、冷えるのは良くない。三島悠羽を床に寝かせるわけにはいかない。