第211章 一躍千里(その10)

しかし……奇跡は本当に起こるものだ!

皆が次々と到着する業界の重鎮たちに注目している時、派手な目立つマセラティが一気に加速し、急停車して、パラダイスの入り口に停まった。

多くの人々が息を飲んだ!

この登場の仕方……本当にクールだ!

「マセラティだ!すごい、Y市にはそんなに多くないはずだけど、乗っているのは誰?パラダイスのお客様かしら?」

「早く、早く、カメラをその車に向けて!車から降りる人を絶対に撮らないと。車両進入禁止の商業区域に直接乗り入れられる人物なんて、ただ者じゃないはずだ!」

瞬く間に、全ての人の注目がこの派手なマセラティに集中した。

このとき、メディア関係者だけでなく、周りの見物人や、パラダイスに招待された業界関係者たちも、みな驚きの表情を浮かべていた。

幾つもの目が、そのマセラティを食い入るように見つめ、ついに、その車に動きがあった。

車のドアがゆっくりと開き、助手席の人物が待ちきれないように、すぐに降りてきた。

若いながらも、容姿と気品が際立つ女の子で、一目で名家の子女とわかったが、その表情や雰囲気からは、甘やかされた様子は感じられなかった。

「あれ?この子、どこかで見たことがあるような気がするけど、すぐには思い出せないな!」あるメディア関係者が女の子を見つめながら、その正体を必死に思い出そうとしていた。

「見て!あの人が降りてきた。まさか、目の錯覚?あれは羽田グループの御曹司、羽田和彦さんじゃない?」

羽田和彦が人々の前に現れた瞬間、すぐに彼の身分が認識された。

仕方がない、羽田和彦は決して控えめな人物ではなく、彼が現れる場所は必ず賑やかになるのだから。

しかも羽田和彦は多くの華やかな噂を持つ人物で、上流社会の典型的なプレイボーイで、しょっちゅう芸能メディアに新しい女性と一緒にいるところを撮られるような人物だった。

そのため、羽田和彦はビジネスマンでありながら、多くのメディア関係者に顔を知られていた。それは彼の芸能ゴシップが多すぎるからだった。

「ああ!だから見覚えがあったんだ。あの子は羽田家のお嬢様の羽田真央さん!羽田和彦さんの妹!まさか、二人がここに来るなんて?羽田グループの人たちがなぜこんな場所に?」