なんてこと!
高橋友美はよろめいて、転びそうになった。
これは...これはあり得ない!絶対にあり得ない!
どうしてこんなことに?杉本律人は破産したはずじゃないの?どうしてこんな豪華な宝石店を開けるの!
この瞬間、彼女の心は何かに掴まれているかのように締め付けられ、嫉妬に満ちた目つきは恐ろしいものだった。
ふん!田中美奈さえいなければ、今日の杉本律人の奥様の座は彼女のものだったはずなのに!
他人が座っているのに、自分が立っているなんて、こんな立場に落ちぶれるなんて。
悔しい!
伊藤明里と夫の中川肥塚は目を合わせ、その目には深い意味が込められていた。
伊藤明里はずっと、同級生たちに対して自然と優越感を持っていたが、今この瞬間、田中美奈の前ではその優越感が完全に消え去ってしまったようだった。
田中美奈はそこに座って、ただ微笑んでいるだけだが、その落ち着き払った様子だけで、彼女を圧倒していた。
やはり、女は良い相手と結婚することが大切なのだ。ある瞬間、伊藤明里は、長年誇りにしていた自分の夫も、実はたいしたことないのではないかと感じた。
「さて、長話は抜きにして、皆様もお待ちかねだと思います。本日、パラダイスでは最高級翡翠を3点ご用意し、現場でオークションを行います。その後、原石切りの実演も予定しております。それでは、始めましょう。3点の最高級翡翠をお持ちください!」
伊藤明里と高橋友美が混乱し、大きなショックを受けている間、山田ひろしが何を話していたのかまったく聞いていなかった。ただ、これから本題に入るということだけは分かった。
山田ひろしが指示を出すと、すぐに人々が慎重にオークション用の翡翠3点を運び込んできた。
3点の翡翠は、それぞれガラスのショーケースに収められていた。翡翠を見る前に、このショーケースの材質と安全性だけを見ても、中の翡翠が非常に高価なものだということが分かった。
山田ひろしは自信に満ちた様子で説明を始めた。「最初の翡翠は三色翡翠です。その名の通り、3つの色が共存する翡翠で、透明度が高く、色彩が鮮やかな最高級品です!」
三色翡翠が最初に運び込まれると、その鮮やかな色彩と明確な色の区分が、すぐに皆の注目を集めた。