遊園地に着いた時、杉本瑠璃はようやく三島悠羽がここに来たがった理由を理解した。
理由は単純で、外から中まで歩いてみると、子供の中の女の子以外、チケット売り場の人員まで全員男性だった。
この光景を目にした瑠璃は苦笑いを浮かべながら、「どうやってこんなことができたの?女性客が一人もいないなんて!」
スタッフだけなら、悠羽が一言言えば男性に変えることができると信じられた。
でも客まで女性が一人もいないなんて、本当に……
「チケット売り場で、今日来た女性が入園を諦めれば、三島グループから高額商品券がもらえて、同伴の子供と男性は無料で遊べるんだ。女性たちは……みんなショッピングに行ったよ」
ぷっ!
瑠璃は悠羽が何か強硬な手段を使ったのかと思っていたが、まさか買い物というだけで全ての女性を追い払えるとは。
本当に……すごすぎる!
瑠璃は感心して悠羽に親指を立てた。「私と遊ぶために、本気で投資したのね」
一人数千円の商品券、この遊園地は毎日大勢の人が訪れ、その大半が女性だということを考えると、この一手で数千万円はかかっているはず。
悠羽は全く気にする様子もなく、ただ微笑んで言った。「今日は僕たちの結婚記念日だから、数千万で祝うのは少なすぎるくらいさ」
この瞬間、瑠璃の心は感慨深く、同時に感動した。それは悠羽が大金を使ったからではなく、悠羽が彼女と一緒に遊ぶための方法を考えてくれたからだった。
悠羽には潔癖症や心理的な障壁があるにもかかわらず、その思いやりと心遣いは、瑠璃にはっきりと伝わってきた。
おそらく悠羽のような人と結婚することで、彼女はとても幸せになれるだろう。
「かおるちゃんがこんなにお金持ちで頼もしいなら、今日は思いっきり楽しまなきゃね。行くよ!」瑠璃は入園するとすぐに、この場所の明るく楽しい雰囲気に感染され、まるで子供のように悠羽の手を引いて、中を走り回り始めた。
悠羽は瑠璃の足取りに合わせて大股で歩き、口角には常に微かな笑みを浮かべていた。
女性たちが買い物に行ってしまったため、遊園地内は人が少なく、混雑していなかったので、待ち時間もかなり短縮された。
瑠璃は本当に思う存分楽しんでいた。悠羽の手を引きながら、面白そうなアトラクションは2回連続で乗ることもあった。