第250章 私たちは結婚しました！（14）

桐生誠一はそんなことは気にもせず、冷たく鼻を鳴らした。「ふん！そんなこと言うなよ。あの頃、学校中の誰もが知ってたことだ。安藤颯は杉本瑠璃の家柄が良くて、美人だからって付きまとってたんだ。後で瑠璃の家が没落したと知ると、すぐに別の金持ち娘に乗り換えた。うちの瑠璃がそんな男を追いかけるわけないだろう！」

山口小百合はその場で呆然となった。なんと安藤颯と恩人には過去があり、安藤颯が杉本瑠璃を追いかけていたとは！

周りの人々も、桐生誠一の言葉を聞いて、なるほどという表情を浮かべた。

別のバージョンもあったのか。はは、一体どちらが本当なのだろう？

杉本瑠璃が安藤颯に執着していたのか、それとも安藤颯が虚栄心から金持ち娘を追いかけていたのか？

山口小百合も呆然とし、すぐに目に涙が光り、まるで心に傷を負ったかのように、とても可哀想な様子だった。

安藤颯は慌てて説明しようとした。事態は彼の思い通りではなかった。本来なら杉本瑠璃と石川静香を貶めて、自分の偉大なイメージを作ろうとしたのに、今は全て逆効果になってしまった。

「でたらめだ！小百合ちゃん、彼の言うことを信じないで。僕は君だけを愛しているんだ。そんな人たちと関わりなんてないよ！あれは噂に過ぎない、信じられないよ！杉本瑠璃とは同じ学校だっただけで、以前は仲が良かったから誤解されただけなんだ。桐生誠一の言うようなことじゃない。」

山口小百合は安藤颯の言葉を聞き、その誠実な眼差しを見て、すぐに心が和らいだ。

もしかしたら...本当に何か誤解があったのかもしれない。

「本当に厚かましい奴だな。よくもそんなことが言えるものだ。子供をだますのが上手いね！とにかく、私の言ったことは全部本当だ。嘘をつく必要なんてない。新入生さん、自分で気をつけた方がいいよ！」

桐生誠一は皮肉っぽく一言言うと、もう安藤颯と山口小百合に構わなくなった。

一方、杉本瑠璃もこの騒動の主役になりたくなかったし、そんなに弱々しい女の子は苦手だった。まるで少し強く触れただけで山口小百合が壊れてしまいそうな気がした。

「私は食べ終わったわ。先生に用事があるから、先に行くわ。」

杉本瑠璃は安藤颯の芝居を見るのが嫌になった。見過ぎると吐き気がする。

さっき斎藤きくこが言ったように、食事の後で吐くのは本当に気分が悪い。